不動明の独白
魑魅と魍魎は、
いつも人間のあいだに
うずくまっている。
私がそれに気がついたのは
だいぶ幼い頃だった。
正義を振りかざすひとの顔のほうが怖かった。
毒をもつ花のほうが美しく見えた。
善と悪の境を決めたのは
いったい誰なんだろう。
人はなぜ人を殺してはいけないのか。
誰かが何かで言っていた。
殺してご覧なさい。あなたが誰かに殺されるから。
私にはそれが答えには思えなかった。
それはただの言葉遊びにしか思えなかった。
闇にひかれるのは
私だけなのか。
光はいつも私には眩しすぎる。